ブレークラインの収縮による安全性低下の問題と解決策 -SKYWALK&DHVより-

ブレークラインの収縮による安全性の低下

DHV & SKYWALKからフライヤーの皆さんのHappy Landingに有益と思われる情報がアナウンスされていましたので、私自身感じている事と合わせてご紹介させていただきます。

目次

パラグライダーの経年劣化

パラグライダーはどんどん進化し、性能と安全性がかなり高い次元で融合しています。
しかしその反面、精密な乗り物になってきており、今までとは違った特性を有する物になっているようにも感じられます。
使われている素材はずいぶんと進化してきましたが、やはり経年劣化や使用による消耗での変化は避けられません。
どのような変化に留意するべきかを知っておく必要があるでしょう。

各メーカーからは「推奨」としてライン交換グライダーチェックの必要な期間(飛行時間や使用年数)が明記されていることが多くなっていますが、多くのパイロットがそんな事を気にせずに、見た感じが大丈夫なら乗り続ける、というのが現状でしょう。

経年劣化による事故 – ブレークラインの収縮

しかし、実際に「ダイニーマ素材のブレークラインの収縮」により引き起こされた事故がDHVに複数件報告されているようです。
国内で報告されている事故の中にも同様の事象を疑うようなものがあります。検証はしていないのであくまでも可能性の話にはなってしまいますが、世界規模では実際に報告がされている以上、可能性は否定できません。

ブレークラインが11cmも収縮している事例もあるようです。
そうなるとブレークのストローク量は減少し、パラグライダーを正常に操縦することは不可能でしょう。
このような状態ではいろいろな危険が発生する可能性があります。

「テスト飛行で実証されているように、事前にブレークラインを引いた状態で翼が変形(潰れ)した後、以上に攻撃的で危険なシュートを示す傾向があります。」

「場合によっては完全にフルリリース(ノーブレーキング)された状態にもかかわらず、常にブレークライン(トレーリングエッジ)が引かれ、それ以上の自由な操作が行えない。」

「このような悪い変化の結果、グライダーが劣化するにつれてフライトに大きなリスクをもたらします(例えばコンスタントストールからの回復の遅延、スピン傾向の増加)。」

案内文より一部抜粋

変化に気が付かない

ライン収縮による問題の発生が厄介なのは「慣れ」です。
突然、数cmブレークラインが縮んだらほとんどのパイロットが違和感を感じると思いますが、数年間かけて徐々に変化していくのです。
当然、それに合わせてグライダーの操作性や挙動もほんの僅かずつ変化していくので気が付き難いですよね。

”この状況に気付かない事”こそ危険な事、と今回の案内で提唱されています。

何かあってからでは取り返しがつかない事態になり得る可能性が高い、というのが空を飛べるパラグライダーの最大のリスクです。
そのためには、パイロット各々が安全意識を高め、フライヤーとしての自己責任を果たしていく必要があります。

「何か起きた時に自分で全ての責任を負う」事がフライヤーの自己責任でしょうか?
誰にも迷惑をかけない。果たしてそんなことが現実的に可能でしょうか?
「何かが起きないように自分にできる最大限の事(リスクヘッジ)をする」ことがフライヤーにおける自己責任の根本だと思います。

とはいえ、「2年経ったら、お金を払ってグライダーチェックを受けなさい」と言ってるわけではありません(笑)
もちろんチェックするに越したことはないと思いますが、お金もかかる事ですのでその辺りはご自分の周りのインストラクターに相談してみてください。

今回は、「情報」さえ得られれば、時間手間だけで実践できるセルフチェックをご紹介させていただきます。

DHV&SKYWALKによる解決策の提案

昨年9月にDHVとSKYWALKが共同で考案した「ブレークラインの収縮による安全性低下の問題」に対する「解決策」を発表していました。
それを、日本の輸入代理店であるゲインインターナショナルさんが和訳して配信してくました。

問題提起とそれに対する解決案が記載されています。

簡単にまとめると、

・経年劣化によりブレークコードが縮んでしまうことで起こり得る問題
・なぜブレークコードが縮むのか
・どの程度縮んでいるのかセルフチェックする方法「イージートリムチェック」考案
・Aラインは比較的重い負荷がかかり縮み難いことを利用して、
・Aラインとブレークラインを計測&比較し、メーカーが発表している数値での差と実測の差で縮みを確認する

といった内容です。

詳細は、ゲインインターナショナルのWebサイトでご覧ください。
ブレークラインの収縮による安全性低下の問題 – および解決策

この方法であれば、比較的簡単にセルフチェックが出来そうですね。

シーズン開始前にやってみよう

もうすぐ春。
パラグライダーにとっては、楽しくもあり怖くもある季節がやってきます。

本格的にシーズンが始まる前に、是非ご自分でチェックしてみてくださいね!

ご自分でやるのはめんどくさい!というかたは、グライダーチェックのご依頼お待ちしてます!

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