パラグライダーを始めて、高高度フライトを飛び慣れてくると気になってくるのが「バリオ」(アルチ・バリオメーター)。
先輩たちはみんな持ってるコイツ、いろんな機能が付いていて、フライトを助けてくれたり、楽しみを倍増させてくれたりする必須アイテム。
今回は、初めてのバリオの購入を検討している人や、とりあえずどんな物か知りたい人向けに種類や選び方をご紹介。
バリオって何?
上昇・下降・高度などを音や数値で知らせてくれる、パラグライダーでのフライトに便利な機器。
「バリオメーター=昇降計」「アルチメーター=高度計」ですが、基本的にはこの二つが合わさった機器を「バリオ」と呼んでいます。
なので、省略せずに言うと「アルチ・バリオメーター」です。
高度計は、海抜高度に設定したり、テイクオフやランディングを0mとして設定したり、GPS内蔵モデルではGPS高度を表示させたり(ALT1/ALT2/ALT3の3系統)することができます。
上昇率/下降率は気圧センサーや加速度センサーから算出され、「m/s」で表します。
GPS内蔵のモデルも多数あり、対地速度や現在地、ルートナビゲーションなど使い方は多様です。
基本的な種類
①最もベーシックな「液晶付きバリオ」
②ミニマルな「音だけバリオ」
③もっと便利な「GPS内蔵バリオ」
④次世代スタンダード「GPS内蔵/音だけバリオ」
▼①最もベーシックな「液晶付きバリオ」
「バリオメータ」「アルチメーター」の情報を液晶に表示してくれ、上昇率&下降率を音(音階)で知らせてくれるモデル。
高度表示はALT1/ALT2/ALT3のように3系統で使い分けできる事が多いです。
上昇率/下降率はデジタル(数値)やアナログ(ゲージ)で表示されます。
GPSは内蔵されていないので、対地速度やナビゲーションなどの機能は無し。
▼②ミニマルな「音だけバリオ」
その名の通り、音(音階)で上昇率/下降率を知らせてくれるだけのモデル。
超シンプルに、最小限の機器しか持ちたくないミニマリストにおすすめ。
▼③もっと便利な「GPS内蔵バリオ」
①の「液晶付きバリオ」にGPSが内蔵されたモデル。
GPSにより、フライト中の対地速度を表示させることが出来たり、GPS高度を表示させたり、フライトのログデータ(飛行軌跡)を記録したりすることができます。
ログデータは様々な方法や目的で活用することが出来ます。
ハイエンドモデルでは、フライト中のルートナビゲーションをすることも出来ます。
大会などで利用されるのはこのルートナビゲーションです、事前に決められたルートを設定しておくと、それに合わせたナビゲーションや様々な情報(目的地までの距離、目的地の高度、目的地への予想到達高度、などなど)を表示してくれます。
不慣れなエリアで飛ぶときにはランディング場へのナビゲーションを設定しておくと、見失うこともなく安心です。
▼④次世代スタンダード「GPS内蔵/音だけバリオ」
②の「音だけバリオ」にGPSが内蔵されたモデル。
GPSは基本的にはフライトログデータの記録のために利用します。
しかし、近年では「XCTrack」というAndroidアプリのメジャー化により、この「GPS内蔵/音だけバリオ」のスタンダード化が広がっています。
XCTrackに関しては過去に、
という記事を書いています。
このタイプのバリオにはBluetooth機能が搭載されている事が多く、Android端末と接続し、XCTrack内で情報を表示&活用します。
Android端末に搭載されているGPSよりも精度が高く、バリオメーターとしての情報も利用できるので、この方法が主流になってきています。
軽装備で気軽にエリア内を飛びたいと時は、「GPS内蔵/音だけバリオ」を単体で持てばかさばる機器の煩わしさもなくフライトを楽しむことが出来ます。
フライトスタイル別おすすめモデル
フライト中の対地速度を知ることは様々な場面で有用であり、近年、GPSによるログデータの活用方法やそれに伴うアフターパラの楽しみ方も多様になっています。
なので、必須ではないですが予算が許すのであれば基本的にはGPS内蔵モデルの購入をお勧めします。
▼「エリア内でソアリングさえできれば最高」タイプ
③の「GPS内蔵バリオ」をおすすめ。
せっかく「空を飛ぶ」というスペシャルな遊びをしているんですから、その日の自分のフライトを振り返りながらおいしいお酒を・・・
このモデルを買っておけば、この先で多少フライトスタイルが変わっても(大会参加以外)大丈夫。
イチオシは↓

シンプル&視認性の良さならコレ↓(ちょっと高いけど)

視認性の良さはフライト中のストレスをかなり軽減してくれます。
そんなこと言ってもGPSなんかいらん、安いやつがいい、という方は、
①の「液晶付きバリオ」が最適。
コスパ最強は↓

▼「XCしたい!大会にも出てみたい!」タイプ
どうせ買うなら最初から大会(パイロンレース)に対応しているモデルを買いましょう。
大会(パイロンレース)って何?という方は、過去記事をどうぞ↓
③の「GPS内蔵バリオ」の中でも大会用のルートナビゲーションに対応しているモデルがおすすめ。
イチオシはこれ↓

もしくは、④の「GPS内蔵/音だけバリオ」(またはBluetooth接続機能のある「GPS内蔵バリオ」)+Android端末の組み合わせでも大会には参加可能。
もっともシンプルな「GPS内蔵/音だけバリオ」↓
Bluetooth接続可能な「GPS内蔵バリオ」↓


▼「大会には出ないけど、エキスパート証を目指す!」タイプ
③の「GPS内蔵バリオ」から自分のスタイルに必要な機能が搭載されているモデルがおすすめ。
GPS内蔵バリオには様々なモデルがあります。
対地速度の表示やフライトログデータの保存など最低限の機能が搭載されたスタンダードモデル~ハイエンドな大会用ルートナビゲーション対応モデルまで。
イチオシはコレ↓

Bluetooth搭載なので、XCフライトの時などはAndroid端末と接続して、表示情報や機能を拡張できるので便利。
もう一つコレ↓

CTR(飛行制限空域)の表示にも完全対応で、シンプルなナビゲーションもできるので、いろんなエリアに飛びに行く時に便利。
というか、最近はCTRが細かく設定されているエリアも増えているようなので、エキスパートパイロットとしてはフライト中のCTR確認は必須。
▼「身軽に軽量機材でハイク&フライ、ソアリングやXCも・・・」タイプ
④の「GPS内蔵/音だけバリオ」+Android端末の組み合わせがおすすめ。
なんでもやりたいあなたには、汎用性抜群のこの組み合わせ。
ハイク&フライやエリア内でのちょこっとフライトの時には「GPS内蔵/音だけバリオ」だけでミニマルに。
しっかりソアリングしたい時やXCを計画している時にはAndroid端末と組み合わせて必要な情報を全て表示。
ただし、やっぱり2つの機器を組み合わせるのは意外と面倒だと感じる人もいると思うので、そんな人は、
③の「GPS内蔵バリオ」の中でも小型軽量なモデルがいいかも。

まとめ
初めてのバリオを選ぶときからある程度、自分のフライトスタイル(興味のある、目指したい方向性)を考えて選んであげると、後々有効利用できると思います。
GPSに関しては、フライト時の利便性や安全管理、フライト後の楽しみ方の幅が広がることはもちろんですが、知識や技術の向上にとても役に立つ機能ですので、どうせ買うなら断然GPS内蔵モデルをおすすめします。
バリオを手に入れて、パラグライダーをさらに楽しみましょう!
ただし、慣れないうちは特に、計器の表示を見すぎないように注意です。
周囲の状況や他機に十分気を付けて見るようにしましょう。
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